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飛び込みセールスに学ぶ

 私自身は営業とは離れた職業なのですが,今回はあるビジネス本を読んだときに気付いた事柄を書きます.

 いわゆる「飛び込みセールス」ですが,みなさんもよくご存じの見ず知らずの人の家や会社へ訪問してモノを売ろうという活動のことです.

 私の職場へも何度か来ました.生命保険はもちろんのこと,百科事典,わけのわからない鏡等々...
 セールスのプロは部屋に入るなり,いきなり「買って下さい」とは言いません.例えば,「10分だけでも話を聞いて下さい」ときます.
 私は性格上断りきれなくて買ってしまうことはまったくないのですが,話くらいなら聞いてもいいかなと思い,話を聞いたことがあります.実際には10分ではなく1時間も聞かされるはめになりました.そうこうするうちにセールスマンの人柄の良さについつい疑う耳を持たなくなっていきました.2回目に職場で会った時なんてこちらから挨拶した記憶があります.

 人間誰しも初対面の人に対して慎重になります.特にこどもは我々おとなよりもさらに慎重です.ましてや,男性よりも女性の方が慎重になるようです.これは人間の本能的な行動であるといえます.このへんがナンパを難しくしているところですね.

 さて,ある上手なセールスマンの例ですが,初対面の人には力を入れて売り込みはしないそうです.初対面の日はなるべく世間話をして,その会社がどのような企業から物品を購入しているのかというような情報収集にとどめます.その会話の中でこの人はいける・いけないと大まかには見当がつくんですね.
 2回目に会うときはもう他人ではないので,お客さんも随分とうち解けてくれるというわけです.
 
 恋愛でもそうです.見ず知らずの人からいきなり告白されてもどうしていいのかわかりません.こちらは相手を知っていて相手はこちらを知らない場合はなおさらです.
 そんなときは,チャンスを見付けて軽く世間話をして,なおかつさりげなく「あなたに興味を持っていますよ」という意思表示をしてみてはいかがでしょうか.例えば,あなたが「あなたは前から○○○のケイタイをお使いのようですが使いやすいですか?」と言ったとします.そのことばの中に「あなたに興味を持っていますよ」という意味が含まれているのがわかりますでしょうか?
 そうすることで相手に自分の存在を植え付けることができますし,次に会ったときは幾分かうち解けてくれると思います.

 学校でも,職場でも,初対面もしくはあまり面識がないにもかかわらず,がっついて話しかけるよりも,最初はさりげなく自分の存在をアピールすることが大切です.
 何よりも,相手は慎重になっているわけですから,それを和らげることが先決です.


 人は誰しも少なからず他の人に興味を持ってもらいたい,心配してもらいたい,というような欲求はあると思うんです.女性は見られたいという欲求もありますね.
「あなたに興味を持っていますよ」という意思表示は,相手のその気持ちをくすぐる行為であるといえます.例えば,普段はムスっとしているけど,話しかけられたらドンドン自分のことを話し出す人っていますよね.

「髪型変えましたね,似合いますよ」「かぜ引いたの?大丈夫?」たったこれだけのことでも嬉しくなるもんです.相手がいまどんな言葉を求めているのかを察知して言えるようになれればもっと人間関係がうまくいくと思います.私にはなかなか言えませんが...



余談ですが...ナンパの場合は,「なぜ私に声をかけたのか?」という問いに対して必然性をともなう理由もまた必要となってきます.例えば「あなたが素敵だったのでつい足があたなの方に向いてしまいました」という歯が浮くようなことばでも相手は多かれ少なかれ嬉しいものです.これは男女関係なく同じことがいえますね.


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