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つくす人

 例えば,デートの時にどこへ食事にいこうかと真剣に考える人がいます.実は私もそうでした.相手にしてみれば,そんなことどうでもよくて早く腹ペコから脱したいと思っていることが少なくありません.

 相手にとっては,それがイタ飯だろうが,中華だろうが大したことではないのに,こちらときたら真剣なものですから,相手が空腹でイラついていことに気が付かないのです.
そこまでくると逆効果です.やり過ぎです.

 誰かがいっていましたが,「日本刀でラーメンの袋を開ける」という表現に似ています.ましてや,こちらは真剣に探しているのに,相手はその気も知らないで,ただボーッとしているだけ.相当むかつきます.

 そんなときは,こちらは相手がどの程度望んでいるのか,ということを考える余裕が無い状態にあります.相手からみると私はまさに「ありがた迷惑のお節介野郎」ということになります.過度の献身的行動でもって自分の気持ちの深さを相手にアピールしているんです.

 次の段階では「オレがこんなにしてやっているのに」とか「私がこんなにしてあげているのに」とむかつくわけです.そして,相手のことをひどい奴だ,と勝手に思い込んでしまいます.これではお互いの関係はぎくしゃくしてします.

 そんなことを繰り返していたら,夫婦や恋人でしたら別れることになります.また別れないにしても,憎しみ合いながら一緒にいることになります.

 結局,自分のことしか考えていないのです.自己に執着し過ぎていて,自分が相手から大切に扱われたいからそうするのです.

 人から大切に扱われないと落ち着かないという人は要注意です.

 自分から見返りを求めてつくす人は,自分の心の底に持っている自己に対する過度の執着心の存在に気づかなければなりません.逆に相手がそんな人であるとわかったらならば,それに気づかせて楽にしてあげなければなりません.自分のことを気にするよりも相手のことを理解しようとする気持ちの方が大切なのではないでしょうか.

 つまり,ここでいう「つくす人」は自分のことしか考えない「自己中心的な人」です.それを相手を思いやる方向へ持っていけばずいぶんと生きていて楽になりますし,人間関係もうまくいくと思います.

 相手はいまどのレベルで望んでいるのかを察知するためにアンテナを張る必要があります.

 つくす人にハッピーエンドは存在しません.だって,自分のことしか考えていないのですから.

注:ここでいっている,つくす人というのは,見返りを求めてつくす人のことを意味しますので誤解のないように.


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